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歯周病ってどんな病気?

歯周病とは、歯周病菌の感染によって生じる慢性疾患です。

歯と歯茎の境目の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞し、歯肉が炎症を帯びて赤くなったり、腫れたりします。進行すると、歯を支える土台である歯槽骨が溶けて歯が動くようになり、最後には物が噛めなくなるほか、歯が抜け落ちてしまいます。

歯を失う最大の原因は歯周病です

2018年の公益財団法人8020推進財団による調査では、歯周病は永久歯の抜歯原因の約4割を占めるとの報告がありますが、これには症状無く進行するという歯周病の性質が大きく関わっていると思われます。

気が付いた時には手遅れになっているというケースも存在するため、症状が無くても歯科医院に定期的に通院することが歯を守る上で何より大切です。

歯周病の進行状態

健康な状態

健康で炎症のない歯ぐきはきれいなピンク色をしており、骨は歯をしっかりと支えています。

歯肉炎

歯の付け根や表面にプラークがたまると、歯の周囲や歯と歯の間の歯肉に炎症が起こります。 ブラッシングしたときや、固いものを食べると出血することがあります。 これくらいではまだ痛みもあまりありません。(この段階を歯肉炎といいます)

歯周炎

プラークが歯石(しせき)になり、歯石が大きくなって、歯根膜が溶け、歯肉溝の中にも広がってきます。 歯肉溝はだんだん深くなり、歯肉の弾力性がなくなって歯周ポケットと呼ばれる空間が出来ます。 炎症も進み、歯槽骨の破壊も始まります。

重度歯周炎

症状が進むと歯周ポケットがさらに深くなり、歯槽骨がほとんど破壊され、歯がぐらつき歯の根も見えてきます。 出血や口臭も強くなり、常時ウミが出るようになります。 その状態を一般に歯槽膿漏(しそうのうろう)といいます。

歯周病の治療とは

歯周病は、適切な治療を受けることである程度、健康な状態を取り戻すことができます。以下では、具体的な治療の流れをご説明します。

1.歯周組織検査

歯周病の状態を把握するための検査です。歯と歯茎の境目の「歯周ポケット」の深さや出血の有無を調べます。また歯周病は骨を溶かす病気であるため、レントゲン検査も併せて行います。当院では初診で来られた成人の患者様全員に歯周組織の検査を行い、その検査結果をお渡ししております。検査は治療途中や治療終了時にも、必要に応じて行います。

2.歯周基本治療

歯周病治療での一番の要は、正しい歯磨きの方法を習得し、毎日のご自身でのお手入れでしっかりと清掃出来るようになることです。

そのために歯ブラシや歯間ブラシ、フロスなどの使い方について説明・指導をさせていただきます。一方、歯周ポケットの中に残存しているプラークや歯石など、歯ブラシ等では除去することが出来ない部位に関しては、トレーニングを受けた歯科衛生士が専用の器具を用いて除去します。

当院ではご自身での毎日の清掃を特に大事に考えております。しかしながら、健康保険では充分に歯磨き指導の時間を取ることが難しいことから、保険外の歯磨き指導のプランも用意しております。詳しくは予防コースのページをご覧ください。

3.歯周外科手術

歯周基本治療のみでは完治できない進行した歯周病では、外科的に歯周ポケットの中の歯石を取り除いたり、骨を再生させる処置(再生療法)を行ったりします。また、歯周病が再発しにくい環境を作り上げることを目的に外科手術を行うこともあります。

4.メンテナンス

歯周病は再発の多い病気といわれています。治療により症状が改善したとしても、そこは一度歯周病に侵されたところであるため、おうちでのケアが不十分になると、容易に再発をしてしまいます。定期的なメンテナンスにより、歯周組織の状態および歯磨きの状態を確認することが重要です。

当院の歯周病治療

歯周病はかつて不治の病と言われていました。そのため以前は大学でも歯周治療の講義が少なく、また保険制度上の問題、技術的なハードルなどから、日本の歯科医療においては標準的な歯周病治療が行われていない現状があります。

現在では、国内外の研究の積み重ねにより、歯周病は治る病気・予防できる病気とされています。 当院では、科学的根拠に基づいた、正しい歯周病治療を提供するため、院長とスタッフ一丸となって取り組んでおります。

また、当院の院長である田中 希代子はJIADS(The Japan Institute for Advanced Dental Studies)という歯周病治療を専門的に扱うスタディークラブ(歯科医師の卒後研修の場)で20年以上にわたり研鑽を積んでおり、定期的に症例発表を行っております。

また、日本臨床歯周病学会、アメリカ歯周病学会(AAP)の総会および学術大会に毎年参加し、最新の研究報告や治療法などの情報を収集し、診療のアップデートを行っております。