マイクロスコープを用いた根管治療によって根尖病変を治癒させた一例
当院で根の治療を行った症例をご紹介します。患者さんは若い女性の方でした。
4年ほど前に大きなむし歯が出来たため神経を取ってもらったが、数日前から噛んだ時に違和感があると訴えておられました。
左下の6番目の歯の根の先に炎症が起こり、骨が一部溶けてしまっている状態でした。
一見、レントゲン画像上では、根の先までキレイに治療されているように見えます。
また、被せ物の適合は良くむし歯も無いため、漏洩が生じていることは考えにくいです。
では、どうして根の先に炎症が生じてしまったのでしょうか?
それは、土台を外すとはっきりと分かりました。
根の治療では、根の中の感染源(細菌)を可能な限り少なくすることが重要です。
しかし、この歯の根は楕円形であるにも関わらず、円形の器具のみで清掃をしたことから、根の中間の部位に感染源が残ってしまっています。このような部位を専門用語で根管イスムスと言いますが、この部位の清掃不良により根管治療の失敗の原因となりやすいです。
2回目の治療では、ラバーダム防湿を行い、マイクロスコープで観察しながら、専用の超音波装置を用いて根管イスムスの清掃を行いました。
清掃前の状態です
清掃中の状態です
清掃後の状態です。
このような治療では、繊細な作業が要求されるため、肉眼の25倍程度に拡大が出来るマイクロスコープが必須であると考えます。肉眼での治療であれば、細菌を取り残したり、逆に削らなくても良い部分削ってしまうリスクが高いと考えています。
根の中の感染源を取れたことを確認して、最終的な材料を詰めました。
下に示すレントゲン写真は治療前(左)と治療1年後(右)のものです。
根の先の炎症により骨が溶けてしまっていましたが、その大部分戻ってきているのが分かります。また、治療後には噛んだ時の違和感は無くなり、快適に食事が出来ているとのことでした。
当院では精度の高い根の治療を提供させていただいております。もし、歯の根に関して何かお困りのことがあれば、当院にご連絡いただければと思います。
田中亮祐
取得専門医・認定医
歯科保存学会 認定医
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