江戸時代の入れ歯

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新緑の美しい季節になりましたね。

今回は 『江戸時代の入れ歯』についてお話したいと思います。

入れ歯

日本最古の入れ歯は室町時代のもので、歯や歯肉の部分が全て木でできた木床義歯でした。

入れ歯が一般的に広まったのは江戸時代中期からで 仏像を彫る木仏師が入れ歯を作る『入れ歯師』として庶民の間で活躍する様になってからです。

材料は彫刻しやすく加工後の狂いが少ないことから黄楊(つげ;将棋の駒、印鑑などで利用されている)が使われました。顎の型採りは蜜蝋に松脂やごま油などを混ぜたものを使って蝋型を作り、荒削りな入れ歯に合わせながら仕上げていったようです。

さらに細かい調整は食紅(紅花)を用い、当たって痛いところを少しずつ削り精密に調整し、機能的にも咬むことができるように奥歯の咬む面には金属の釘が埋め込まれました。

男性用には前歯に象牙、人や動物の歯をはめ込み、女性用には黒柿木を使いお歯黒のように見える工夫もされました。さらに匂い防止のため入れ歯の裏側に殺菌作用のある金箔を貼ったり 和紙を歯肉と入れ歯の間に入れて水分を含ませ安定剤代わりにしたものもあったそうです。

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同じ時代の西洋では、実際には使えない見た目上だけの入れ歯しかありませんでした。食事ができることが前提になっている江戸時代の技術力の高さに驚かされますね。

                          歯科衛生士 母里裕子